結婚をする前にまず本人と両家の両親がお互いに挨拶をしあうという風習として長年使われてきたのが「結納」ですが、近年では儀礼的要素の大きい結納よりもむしろ実務面を重視した「顔合わせ」や「食事会」といった方法がとられるようになっています。
「顔合わせ」や「食事会」が結納と大きく異なる点は、儀礼的なことを一切行わずに一緒に食事をしてそこでお互いの理解を深めることを目的としているということです。
結納のための儀礼も年々簡略化される傾向にありますが、例えば「結納品9品目(7品目や5品目のときもある)」といったように、一般的な贈り物ではなく伝統的にそうするべきと定められているものを渡すというように決められた手順をとらないといけません。
一方で食事会や顔合わせにおいてはそうした決まりは一切なく、普通に一緒に食事を食べるということ自体が目的となっています。
ただしそうした食事会や顔合わせだから全くマナーや守るべき決まりはないというわけではなく、婚約のためのフォーマルな場所として守るべき別のマナーが存在しています。
初めて正式に顔を合わせて話をするという場所となりますので、相手側に悪印象を与えないためにもしっかり準備をしていくようにしたいところです。
ただ食事を一緒にするだけといっても、ファミレスや定食屋のような食事そのものを目的とする所では落ち着いて話をすることができません。
一般的に食事会の会場として適すると言われるのは予算が3~6万円くらいの場所で、場合によってはその場で手渡す婚約記念品を用意することになります。
両家の顔合わせという意味合いが強い結納に対して、食事会はどちらかというとこれから結婚をしようという二人がお互いの両親にそれぞれを紹介するという形になるので、場所のセッティングや支払いはカップル二人で行うということが多くなっています。
その場合にはあらかじめ「支払いは私達で行います」ということを伝えておくようにしましょう。
既に挙式場をどこにするかあらかじめ決めてある場合などは、プランの中に食事会のセッティングが含まれているということもあります。
それ以外の場合でも、ホテルやレストランでは食事会用のプランを用意しているのでそうしたものがあるところから選ぶとよいでしょう。
レストラン以外にも料亭などを使用することもありますが、いずれにしてもあまり周囲が賑やかにならないよう空間を仕切って使用できる場所にしたほうがよいと言えます。
服装についてですが、これはどういったところで食事をするかや両家の関係によって変わってきます。
正式の場合にはタキシードや黒留袖を使用することもありますが、そこまで堅苦しくしたくないということならあらかじめどういった服装にするかということを連絡しておくようにしましょう。
一般的にはオフィスカジュアルとして使用されるような、男性ならジャケット着、女性ならワンピースまでの服装が望ましいです。
食事会や顔合わせで重要になるのが事前の両家への連絡です。
自分の親のこととなるとつい適当に済ませてしまいそうになりますが、例えばほとんど連絡がないまま会場に行ったところ相手は正式なフォーマルウェア、自分たちの親はカジュアルウェアなんていうアンバランスができてしまうこともあります。
また片方が手土産を持ってきたのにもう片方は手ぶらで来たというようなことになってもお互い気まずい思いをしてしまいます。
服装や持ち物、当日の費用負担など細かい部分についてしっかり両方に同じ情報を伝えておくようにしたいところです。
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