披露宴を経験した新郎新婦にあとから感想を尋ねた時、多くの人から聞かれるのが「料理が全然食べられないのが辛かった」という意見です。
一般的な式場で提供されるコース料理は一人頭約1~2万円が相場とされているので、豪華な料理が次々と目の前で手を付けないまま片付けられていく様子はかなりつらいものです。
ただ誤解のないように言っておくとマナー上では新郎新婦は料理を食べてはいけないというふうに決められているというわけではありません。
招待人数の少ないアットホームな披露宴においては普通に新郎新婦も一緒に食事をしたりします。
しかし数十人単位の招待客が集まる大きな式の場合には、次々に新郎新婦に挨拶に人が来たり、コメントを求められたりということがあるので「食べたいけれども食べる暇がない」というのが本当のところです。
コース料理の場合にはどうしても決められた時間内にお皿の入れ替えをしていかないといけませんので、ちょっと席を離れたり挨拶に回っている間、次のお皿を出すためにどんどん下げられていってしまうのです。
食べることができない料理もつらいところですが、それ以上に大変なのがお酌に来る人から注がれるアルコール類です。
普段はお酒が大好きで飲み会では相当飲むという人も、新郎新婦の立場となったときには短時間のうちに次から次へと注がれてしまうのでその全てを飲むことはできません。
ですので新郎新婦のテーブルの下にはあらかじめバケツが用意されており、注がれたアルコールを下に入れてかわせるようになっています。
飲み過ぎてしまうとまだまだ続くお見送りや二次会などに差し支えてしまうのでいかにうまく自分のペースを維持できるかというところがポイントです。
反対に全くといって良いほどお酒が飲めないという人の場合には、最初のシャンパンから軽く口をつける程度にしてあとは全く飲まないようにした方がよいでしょう。
会場スタッフさんにお酒が飲めないということをあらかじめ伝えておけばそばに注ぎやすいようにソフトドリンクを用意してくれたりします。
結婚式や披露宴では招待客として呼ぶ人とは別に、司会や受付、仲人(媒酌人)をお願いする特別な人がいます。
そうした自分たちの式を手伝ってくれた人に対して渡すことになっているのが「お車代」もしくは「お礼」と言われるお金です。
お手伝いをお願いする方からもご祝儀をいただくことになりますのでわずかばかりのお返しということになりますが、きちんとした形で渡すということがマナーになっています。
お金を渡すときには裸や白封筒ではなくきちんと祝儀袋に入れることとなっており、その際には蝶結びではなく結び切りのタイプのものを使用します。
ただし金額が1万円以下のときには祝儀袋ではなく略式のぽち袋タイプの祝儀袋でよいとされています。
反対に5万円以上の金額になるときには祝儀袋のランクも高いものにすることが望ましいです。
金額の相場はまちまちですが、中に入れるお札は新札を用意するようにしきちんとお礼をしつつ手渡しで本人に渡すようにします。
お車代やお礼として渡すお金は、新郎新婦本人ではなく両親から渡す方がよいものもあります。
一般的に両親から渡すものとされているのは、式の司会を依頼した人や受付をしてもらった人、また仲人として立ってくれた方です。
司会や受付の人には式が始まる前に「今日はよろしくお願いします」ということで渡すようにし、仲人の場合には式が終了した後に両親がそろってきちんと場を作ってお礼をするようにします。
一方で新郎新婦がそれぞれ本人から渡すものとされているのが、式で余興をしてくれた人やウエルカムボードやドールを作ってくれたというような人です。
他にも何か作業を個人的にお願いしたときにはその御礼ということで数千円~数万円程度を渡すようにします。
また特に式で何かお願いをしたというわけでなくとも、遠方から式のために来てくれたという人に対してはその交通費の半額~全額を渡すのが常識となっています。
宿泊が必要な場合も相手との関係を見つつ一部もしくは全部を負担するようにします。
なお仲人となってくれた方には、お礼とは別にお車代を渡すようにした方がよいでしょう。
ただし移動をするときに新郎新婦側でハイヤーやタクシーを用意し、その金額を先に負担しているときにはわざわざお車代として別に渡す必要はありません。
結婚式や披露宴を行うときに、ゲストに対して配布をするために使う書面類をまとめて「ペーパーアイテム」と言います。
他にいろいろとお金がかかることが多い結婚式においてはついつい後回しにされがちですが、実はこのペーパーアイテムは意外に奥深くゲストから詳しく見られる部分であったりします。
式場やウエディングプランニングの会社から、セット価格としてペーパーアイテム付きとなっていることも多いのですが、こだわりをもって式をするならペーパーアイテムをどんなふうに使うかしっかり理解の上選定していきたいところです。
まず基本的なところからマナーを説明すると、いくら親しい間柄であり結婚をするということをかなり前から伝えていたという人であっても、結婚式に招待するという場合にはきちんと書面で招待状を出さないといけません。
もちろんメールなど電子形式でもダメです。
相手側も招待状を受け取ったら返答を電話など口頭で行うのではなく、書面を返信するという形で応えます。
そのため招待状を作成するときには必ず返信用の封筒やはがきを同封するのが基本的なマナーとなります。
結婚式の招待状が式場からサービス提供されることが多いのは、招待状には必ず式を行う会場までの地図を記載するのが常識になっているからです。
ホテルやレストランなどはあらかじめ施設の場所を教える地図がテンプレートとして用意されているので、それをそのまま記載することで手軽に招待状を作成できます。
招待状に記載する一般的な内容としては、結婚の報告とともに「新郎新婦の名前」「式や披露宴の日時」「会場についての情報(地図や電話番号など)」「出欠確認の締め切り日」「その他の連絡事項」といったものがあります。
今では少なくなってきていますが、媒酌人を立てる式の場合にはその人の名前も記載します。
出欠確認は「出席・欠席」のいずれかに丸をつけてすぐに返信できるようにしておき、相手方からの連絡事項が記載しやすいように余白を十分に開けておくデザインが望ましいとされています。
なお送り主となる名義ですが、以前までは結婚をする当人ではなく両親の名前で出すことが常識とされてきましたが現在では本人名義で出しても失礼に当たらないというふうに解釈されるようになりました。
正式な結婚をする前に両家で品物をとりかわす「結納」という風習は日本独特のものです。
「婚約」とはまた違った独特の方法によるものなのですが、これは実は歴史的には1400年以上も前に起源があります。
結納について最も古い記録として残っているのは日本書紀の記載で、仁徳天皇の皇太子が結婚相手と決めたときに「納菜」を贈ったとされています。
その後現在まで続けられている結納における作法はのちの室町時代に確立されたといい、当時は貴族階級や武家の間での婚礼をするときの手続きとして行われていたようです。
一般人にもそうした結婚に関する手続きが広まったのは江戸時代に入ってからで、最初は裕福な商人の間で結婚で少しずつ使用されるようになっていきました。
より一般的になったのは明治に入ってからのことで、この頃になると身分に関わらず結婚をするときにはその前に結納をするという方法がかなり定着してきました。
日本的な結納のもとになったのは中国の「礼記」に記されている儀礼なのですが、そちらでは「納采」「問名」「納吉」「納徴」「請期」という5つの儀式として細かく段取りが定められていました。
日本における結納はこのうち「納采(のうさい)」という結婚をすると決めた当事者の男親が女親に対して贈り物をして挨拶にいくという風習がピックアップされたものと言えます。
参考>>http://www.yuinouyasan.com/tips/rekisi.html
日本全体で風習とされている「結納」ですが、細かく調べてみるとそれを行う地域によってかなり内容が異なっていることがわかります。
結納で行われることとしては、縁起物とされる品物を贈るとともに両家が飲食をともにして親族となることの了承をとりつけるということです。
そもそもの結納習慣については近年見直される傾向にあるとはいえ全体数としては省略をするカップルも増加しており、統計によるときちんと結納をしてから挙式をするのは全体の1/4程度にとどまるということです。
しかしながら結納をきちんと行うことにこだわる地域もあり、東北・北陸・四国・九州といった地域では全体の半数は結納をしてから結婚式をしています。
移住してきた人が多い都市部になるほど結納は減り、地元で暮らす人が多いところほどきちんと行うという傾向があると言えます。
とはいえ結納の方法でも「正式結納」という時間や手間が非常に多くかかる方法は地方でもほとんど行われず、「略式結納」と言われる手続きの多くを簡略化した方法が使われるようになりました。
更に現在では仲人を立てないさらに簡単な「簡略式結納」という方法も登場し、こちらの方法で行うカップルがほとんどになっています。
また結納も「関東式」と「関西式」の二種類に大きく分類されており、男親と女親の双方が品物を贈り合う関東式に対し、男親のみが品物を贈るという関西式では手順が大きく異なります。
結婚をする双方が同じ地域出身ならばあまり問題にはならないのですが、近年では進学や就職の都合で地元を離れて暮らす人も多いため、遠方地域の出身者同士が結婚をするということも珍しくありません。
特に関東と関西では結納の方式が異なるので、どういった方法でまとめるのがよいかということは一般にはなかなかわかりづらくなります。
そんなときに心強いのがブライダルプランナーさんを間に挟むという方法です。
ブライダルプランナーさんはそうした地域の異なる結納を過去に何度も扱っているため、両家にとって失礼のない方法をきちんと提案してくれます。
結納においては例えば女親はどういったものを返すかや、日取りや場所はどうするかといった細かいマナーが求められるのですが、こちらは時代にどんどん簡略化される傾向にあります。
疑問があったら信頼できる企業のプランナーさんに相談をしてみるのがよいでしょう。
結婚をする前にまず本人と両家の両親がお互いに挨拶をしあうという風習として長年使われてきたのが「結納」ですが、近年では儀礼的要素の大きい結納よりもむしろ実務面を重視した「顔合わせ」や「食事会」といった方法がとられるようになっています。
「顔合わせ」や「食事会」が結納と大きく異なる点は、儀礼的なことを一切行わずに一緒に食事をしてそこでお互いの理解を深めることを目的としているということです。
結納のための儀礼も年々簡略化される傾向にありますが、例えば「結納品9品目(7品目や5品目のときもある)」といったように、一般的な贈り物ではなく伝統的にそうするべきと定められているものを渡すというように決められた手順をとらないといけません。
一方で食事会や顔合わせにおいてはそうした決まりは一切なく、普通に一緒に食事を食べるということ自体が目的となっています。
ただしそうした食事会や顔合わせだから全くマナーや守るべき決まりはないというわけではなく、婚約のためのフォーマルな場所として守るべき別のマナーが存在しています。
初めて正式に顔を合わせて話をするという場所となりますので、相手側に悪印象を与えないためにもしっかり準備をしていくようにしたいところです。
ただ食事を一緒にするだけといっても、ファミレスや定食屋のような食事そのものを目的とする所では落ち着いて話をすることができません。
一般的に食事会の会場として適すると言われるのは予算が3~6万円くらいの場所で、場合によってはその場で手渡す婚約記念品を用意することになります。
両家の顔合わせという意味合いが強い結納に対して、食事会はどちらかというとこれから結婚をしようという二人がお互いの両親にそれぞれを紹介するという形になるので、場所のセッティングや支払いはカップル二人で行うということが多くなっています。
その場合にはあらかじめ「支払いは私達で行います」ということを伝えておくようにしましょう。
既に挙式場をどこにするかあらかじめ決めてある場合などは、プランの中に食事会のセッティングが含まれているということもあります。
それ以外の場合でも、ホテルやレストランでは食事会用のプランを用意しているのでそうしたものがあるところから選ぶとよいでしょう。
レストラン以外にも料亭などを使用することもありますが、いずれにしてもあまり周囲が賑やかにならないよう空間を仕切って使用できる場所にしたほうがよいと言えます。
服装についてですが、これはどういったところで食事をするかや両家の関係によって変わってきます。
正式の場合にはタキシードや黒留袖を使用することもありますが、そこまで堅苦しくしたくないということならあらかじめどういった服装にするかということを連絡しておくようにしましょう。
一般的にはオフィスカジュアルとして使用されるような、男性ならジャケット着、女性ならワンピースまでの服装が望ましいです。
食事会や顔合わせで重要になるのが事前の両家への連絡です。
自分の親のこととなるとつい適当に済ませてしまいそうになりますが、例えばほとんど連絡がないまま会場に行ったところ相手は正式なフォーマルウェア、自分たちの親はカジュアルウェアなんていうアンバランスができてしまうこともあります。
また片方が手土産を持ってきたのにもう片方は手ぶらで来たというようなことになってもお互い気まずい思いをしてしまいます。
服装や持ち物、当日の費用負担など細かい部分についてしっかり両方に同じ情報を伝えておくようにしたいところです。